転職サイトのこだわり検索や詳細検索で見かける「急募!内定まで2週間」というキーワード。
現在離職中の人にとってはとても魅力的ですよね。
でもちょっと待って!その求人、本当に大丈夫ですか?そう聞かれると戸惑う人もいるのでは?
今回は、元転職サイト関係者であり、企業での人事の経験者が、裏話を交え解説いたします!
応募から採用までの選考内容
まずは簡単に、応募から内定までの間に、企業の人事担当者が何をしているか、見ていきましょう。
転職サイト、郵送、電話、メールなどで対応していきます。多い時は、1日に十数件対応することもあるようです。
関係部署に職務経歴書などの書類を提出し、書類選考を依頼します。人事部門でも同時に書類選考を行います。
- 書類選考通過者には転職サイトのメッセージなどを利用し、面接日時の調整を行います。
- 応募者と面接官の日程調整が必要となります。
- も不合格の人には応募書類があれば返却し、不合格の通知文を郵送またはメッセージ配信します。
- 面接場所と面接官のセッティングをし実際に面接します。
- 筆記試験がある場合はその準備と採点も行います。
- 関係部署と話し合い面接合否を決めます。
- 二次面接がある場合は、その日時調整などを再度行います。
- 不合格者には応募書類を返却し、不合格通知文を郵送または配信します。
面接を通過した人を採用してもよいか、いつ入社してもらうかなど、社長や役員に承諾をもらいます。
転職サイトのメッセージや電話にて、内定の通知を行います。入社の意思確認、入社日の調整や入社書類の手配も行います。
選考にかかる期間
かかる期間は、企業規模、人事部門があるかどうか、応募者数などにより変わってきますが、1週間の企業もあれば、1ヶ月以上かかる企業もあります。
例えば従業員100名以下で、支店のない地場企業であれば内定まで2週間は十分「可能」でしょう。とは言え、これだけの業務を2週間で行うのは、正直かなりきついスケジュール。
独立した人事部門がない企業であれば、通常業務と並行して行う必要があるのでなおさらです。
あわせて、面接官が外回りの多い営業などの職種や、出張の多い役職などの場合、面接日時の調整は難航しがちです。
また支店や支社など、拠点が複数ある企業の場合、本社とのやりとりも発生するため、2週間で内定までというのは厳しいところが多いでしょう。
そのため、比較的規模が小さめで、人事担当者や面接官の調整がしやすく、最終決裁(稟議)の早い企業でないと、2週間で内定まで行うのは難しいと言わざるを得ません。
ブラックに近い求人もある!?
危ないのは、誰でも採用している企業です。それがイコール「ブラック企業」とは言い切れませんが、誰でも採用する企業はやはりちょっと不安ですよね。そういった企業を避けるために、おすすめの見分け方をいくつかご紹介します。
募集人数が多い
まず一つ目は、「募集人数」です。従業員数に対し募集人数が多いなどのケースになります。何か違和感がある場合は、背景をしっかり確認しましょう。
常に急募
二つ目は、「常に急募」の企業です。いつ見ても掲載されている企業や、複数の転職サイトに掲載されている企業のうち、常に「急募」を掲げている企業は、注意した方がいいかもしれません。
募集の背景が不明
三つ目は、「急成長や大募集の背景が曖昧」な企業です。「急成長のため大幅増員」などの文言をよく見かけますが、なぜ急成長したのか、具体的に分からない場合は、企業のサイトを確認したり、同業他社と比較してみたりすることをおすすめします。
その他にも、仕事内容や応募の流れなど、総合的に見て違和感がないか、しっかりと確認しておきましょう。
この検索条件には頼らない方が良い?
企業にとって、応募から内定までを2週間で行うことは、決して無理なことではありません。
ただし、非常に厳しいスケジュールであるのも事実。通常はスピーディーに採用活動を進めている企業であっても、ほんの少しの不安要素があれば、このキーワードを選択しないかもしれません。
しかしながら、転職サイトに載っているほとんどの企業は「急募」なのです。このキーワードに頼ったばっかりに、出会えない求人広告もたくさんあるように思います。
これから長く勤めるであろう転職先。可能性を広げるためにも、あまりこのキーワードに頼りすぎず、いろんな検索方法を試してみること、それらを十分に比較することをおすすめしたいです。
ちょっとした疑問!応募から2週間?面接から2週間?
ここで気になるのが、どこから2週間なのか?という部分です。転職サイトにより違いはあるようですが、はっきりと明言してないところがほとんど。
丁寧な求人広告でさえ、「面接から内定まで大体2週間くらいを予定しています」といった、ぼかした表現にとどめているところが多いようです。
また、求人広告の掲載は1週間~2週間サイクル。応募からなのか、面接からなのかで、かなりの差が出てくるでしょう。
転職サイト側としては、企業がきちんと応募者に対応してくれるのか不安ですし、クレームやトラブルも気になるところ。
とは言え、アドバイスは出来ても面接や応募者とのやりとりなど、企業の採用活動に介入することまでは出来ません。
つまり、2週間で内定に至れるかどうか確証はないのです。あくまで企業の自己申告に委ねるしかありません。
採用基準がしっかりしているから2週間で内定を出せる
誰でも採用しているのでは? こんな短い期間で内定を出すってことは、全員採用しているのでは?と思われる人もいるでしょう。
しかしながら、企業への取材を重ねる中で、このキーワードを選択できるのは、採用基準がしっかりしている企業や、制度が整っている会社、もしくは本気度が高い企業も多いように思います。
書類選考基準や面接で重視すべき点がはっきりしている、また欲しい人材像が社内できちんと共有できているからこそ、スピーディーな採用活動が進められます。
加えて前述の通り、人事担当者が通常業務に追われている場合や採用活動の優先度が低い場合、2週間で内定まで行うのは非常に難しいでしょう。採用活動が第一優先!くらいでないと厳しいスケジュールなのです。