ブラック企業に騙されないために見ておこう|過去に転職サイトに掲載された事例

転職サイトに掲載する求人広告を制作していると、優良企業からブラック企業のようなところまでさまざまな会社を訪問、取材をします。

この記事ではライターの立場から「ここは恐らくブラック企業だな」と感じた瞬間についてお伝えします。

※ 今回は転職サイトの求人内容の制作経験のあるライターさんに書いてもらった内容です。

目次

社員が土日も集まる会社

Webデザインやイベント企画などの事業を運営しているベンチャー企業。社員は20人に満たない程度で、社長は30歳前後、社員はほぼ全員が20代という組織でした。

かなりイケイケな社風で、社長も社員も和気あいあい(というか学生のノリが抜けない感じ)といった雰囲気で仕事をしている様子が伝わってきました。

社長に対する取材の中で、最近業績が上がってきて土日出勤しなきゃ会社が回らないといった話になりました。

 

好きで会社に集まってるんだよ!だから給料は出ないよ!

「土日出勤はみんな好きで会社に集まっている感じです。なので、土日分の給料は出してません」という話が衝撃的でした。

社長からしたら、社員が勝手に会社に集い、事業拡大に向けて頑張っているように見えているのでしょう。

しかも社員有志、ではなく全員だというから驚きです。また、平日だと外出しているメンバーも多く集まりにくいため、社内の打ち合わせは土曜日にやることが多いとのこと。

それは完全に業務であり、給料が発生しなきゃおかしい状況ですよね。 試しに企業のクチコミをネット上で調べてみたところ 「あまりにも業務が多すぎて休日返上で出社していましたが、給与は発生しませんでした。」という1年前の投稿を見つけました。

社長にもぜひクチコミを見てほしいと思わずにはいられません。転職サイト上にブラックな事実を書くこともできず 「休日も社員で集まることが多いほど、アットホームな組織」とだけ表現しました。

 

不動産営業の高待遇求人

こちらは、不動産関係の営業職の募集をしている会社です。こちらの会社は前回も同じ転職サイトで営業職を募集していましたが、せっかく採用した人が半年ほどで辞めてしまったため、また新たに募集をかけるべく掲載の依頼をいただきました。

取材の際、「前回の募集では未経験でも月給25万スタートだったが、今回は未経験月給27万スタート、しかもノルマ無し、として掲載してほしい」とのお話がありました。

良い人材になるべく長く働いてもらうため、中途社員の入社時の給与を上げるよう上層部からお達しがあったとのことでした。

確かに、月給27万円なら前回以上に注目が集まると思いました。しかし未経験の求職者を相手にあまり高い給与を示すことはマイナスに働く場合もあります。

「一体どれだけ体当たりな営業活動をさせられるんだ」と、求職者を不安にさせるおそれがあるからです。飛び込み営業やテレアポ地獄であれば、応募は集まりません。

 

仕事内容は過酷!ノルマはないが給料減っちゃうよ

そこで、採用担当者に営業活動の方法について確認したところ、やはり予想通り、1軒1軒住宅街を回ったり、取引している不動産関連会社から仕入れた名簿を元に電話をかけ続けるなどの営業活動がメインとのこと。営業方法の部分は求人広告上にそこまで詳しくは書けなさそうです。

さらに、「ノルマ無し」については、「ノルマは設定しませんが、新規開拓の件数で給与にインセンティブが入ります。お客さんが増やせない社員は月給20万円ぐらいですね。」との話。

今回募集する中途社員については月給27万円を保証するが、その先はどこかのタイミングで月給20万円前後+歩合給、の形になるかもしれないしずっと27万円でいく可能性もある、とのことで言葉を濁されました。

結局転職サイト上の給与欄には「未経験でも月給27万円でスタート!ノルマ無し!」と記載するしかありませんでした。

 

ブラック企業に騙されないために

企業の広告を作る立場としては「そんな事言われても、どうポジティブに表現しろというんだ?!」と思う場面ばかりでした。

こういったブラックな一面を見てしまうと、具体的な良いエピソードがなかなか引き出せません。

そのため「アットホームな雰囲気」「社員同士協力し合える環境」など、どこの企業にでも書けそうな当たり障りの無いフレーズを使い続けることになります。

どこかうわべだけな感じがする、キレイな言葉を並べただけのような求人広告の裏にはそういった「書けない部分」があることを意識すると、転職サイトの見方も変わってくると思います。

転職サイトを活用する際は、

  • 具体的な仕事内容、エピソード、会社のよさがきちんと書かれているか
  • 給与体系や残業時間と残業手当、休日について詳細が読み取れるか

などもチェックしてみてください。

ぼんやりとした言葉ばかりの求人はちょっと危ないかもしれません。みなさんがワークライフバランスを保ちながら生き生きと働ける企業に出会えるよう応援しています。

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