ワークライフバランス(ライフワークバランス)の重要性が叫ばれる昨今。
転職サイトの検索ワードでも「フレックス勤務可能」という文言を見かけるようになりました。
「フレックス勤務」には色々ありますが、転職サイトには「フレックスタイム制」以外の記載はほぼありません。
今回は、豆知識としても役立つ労働時間制について比較&解説していきます。
フレックスタイム制以外にもいっぱいあるんですね。
ちなみに、フレックスタイム制というのは、必ず労働しなくてはならない「コアタイム」と、いつ出退社してもよい「フレキシブルタイム」という時間帯が決まっています。
おっちゃんの労働時間ってどんな感じなの?
9時~18時が勤務で12時~13時はお昼休み。
13時~15時ぐらいまで意識飛んでる事多いかな
今度見付けたら写メ取ってばらまいたる!
うげ!
労働時間の基本と種類
まずは、基本的な労働時間の考え方についてです。
接客業や小売、病院などの特例事業場を除き、一般の事業場の場合「1日8時間以内かつ週40時間以内」というのが原則で、これを超えて労働させてはいけない、と労働基準法に定められています。
これを超えて労働させる場合には、労働基準監督署に届出が必要で、ほとんどの会社が毎年これを提出しています。
休日は「4週に4日以上」与えなくてはならず、出来るだけ1週に1日とされています。
ただし、あくまで出来るだけなので、極端な話、月末に一気に4連休でも、法律上、問題はありません。
これが、労働時間の基本ですが、労働時間の制度はこれだけじゃなく、他にもたくさんの種類があります。
最低限、月に4日以上の休日で法律上は問題なし!これが基本!
ひえっ!少ない!
(1)フレックスタイム制
(2)1ヶ月単位の変形労働時間制
(3)1年単位の変形労働時間制
(4)1週間単位の変形労働時間制
(5)事業場外のみなし労働時間制
(6)裁量労働制
(7)管理職の特例
実は、1日8時間以上働いても、週40時間以上働いても、残業代が出ないものもあります。詳しく見ていきましょう。
フレックス勤務!ポイントは残業代!それぞれの特徴は?
サービス残業の摘発が厳しくなってきており、労働者も残業代に敏感になってきています。
そんな残業代ですが、前述の通り、1日8時間以上働いても、出ないケースがあります。これは、前章でご紹介した(1)~(7)のうち、全てに当てはまります。
では、それぞれの特徴について、簡単に見ていきましょう。
フレックスタイム制
出退社の時間を労働者が決める制度。
必ず労働しなくてはならない「コアタイム」と、いつ出退社してもよい「フレキシブルタイム」という時間帯が決まっています。
1ヶ月の総労働時間を決めておき、それを超えて働いた場合には、残業代が出ます。
ただし、1日単位では精算しないので、ある1日に8時間以上働いても、1ヶ月トータルで見た時に、総労働時間を超えていなければ、残業代は出ません。
ちなみに、総労働時間の最大枠は、30日の月は171時間、31日の月は177時間となっています。この最大枠は、どの労働時間制度でも同じです。
1ヶ月単位の変形労働時間制
月末だけ忙しい企業やシフト制の企業が、よく利用している制度です。
フレックスタイム制同様に、1ヶ月の総労働時間が決められています。
例えば4週(28日)ある月であれば、40時間×4週=160時間までは、残業となりません。
1日単位ではなく、1ヶ月単位で残業代を計算していきます。
フレックスタイム制同様、30日の月であれば、171時間を超えない限り、残業代は発生しません。
1年単位の変形労働時間制
(2)と考え方は同じで、総労働時間を1年単位で計算する制度です。
年末年始やお盆など、大型連休がある企業や、残業代を抑えたいと考える企業が、比較的よく使っています。
1年を平均して、1週あたり40時間以内になればよいので、年末年始やお盆休みがある場合、その分のしわ寄せを他の日にまわすことが出来、計算すると、この制度の場合、1日8時間30分労働でも残業代が出ません。
1週間単位の変形労働時間制
(2)(3)と考え方は同じですが、この制度を利用できるのは、従業員数が30人未満の小売業や旅館、料理店、飲食店のみなので、あまり人気がありません。
1日で8時間を超えていても、1週間で40時間を超えていなければ、残業代が出ないことになります。
事業場外のみなし労働時間制
社外で働く時間が多い営業職や、出張などの場合に活用されています。
これらの仕事は、労働時間を正確に把握するのが難しいため、あらかじめ「営業手当」などの名目で、残業代が含まれていることがほとんどです。
裁量労働制
労働時間ではなく、成果に対して給与を支払う制度で、現実の労働時間が何時間であろうと、残業代は発生しません。
成果主義の企業などが導入しており、研究開発やシステム設計など、対象業務が限られています。
管理職の特例
管理職については、残業代を支払わなくてよいという特例があり、管理職と行動をともにする秘書についても、残業代の概念はありません。
ただし、管理職というのは、役職名ではなく、実態について厳しい判断基準があり、該当するのは、役員や支店長、本部長などに限られています。
営業職と同様に、これらの管理職には、「管理職手当」が支給されていることが多いようです。
フレックスタイム制はお得なの?おすすめなの?
前述の通り、フレックスタイム制は、出退社の時間を、労働者が決められるというメリットがあります。
例えば、出社時間を遅めにすれば、通勤ラッシュを避けることが出来るので、それだけでも、毎日のストレスは、かなり軽減されますよね。
ただし、注意したいのはコアタイムの時間帯です。希望する時間帯に裁量がなければ、意味がありません。
転職サイトでフレックスタイム制と書いてあった場合は、コアタイムとフレキシブルタイムを、必ず確認しましょう。
また、フレックスタイム制を導入していても、実態としては9時出社、18時退社が根強く残っていて、思うようにフレクッスタイム制を活用できていない企業も、まだまだあるのが現状です。
フレックスタイム制を希望するのであれば、面接などの際、実情について聞いておくことをおすすめします。
コアタイムは絶対に勤務しなきゃダメな時間。
フレキシブルタイムはその時間内であればいつ出勤しても退勤しても良い時間。
残業代が大きく変わるよ
転職サイトの勤務時間の欄には、今回ご紹介したような労働時間制度の名称までは、書かれていないことがほとんどです。
もし転職サイト内に、残業が多いと書かれている場合や、成果主義を導入している企業の場合、面接などで質問するのも一つの手です。
いきなり「どの労働時間制ですか?」と尋ねると、唐突感がありますので「残業はどの程度ですか?」「残業手当の支給について教えて下さい」といったように仕組み全体について尋ねてみるとよいかもしれません。
転職サイトには書かれていませんが、残業代に大きく関わってくる労働時間制。
知っているのと、知らないとでは大違いです。
ぜひ企業選びの参考にしてみて下さい。